チェコ戦は8.4倍のオッズをものともせず、日本が勝利。私が注目していた点はほとんど実現されないものの、アウェーで金星を挙げたジーコ体制に光は見えたのか─。
三都主に関しては、思っていたよりよかった印象が残っている。私は試合前日に本山を左サイドで見たかったと書いたが、三都主で「よかった」と今は思っている。どうしてかというと、それは不慣れな左サイドバックでの三都主ではなかったからだ。3バックスタイルで臨んだ日本の左MFに三都主が入ったことで、中盤でボールを持ったとき、ドリブルをしかけやすく、いつもより攻撃的にできていたから。これは三都主の大事な持ち味。忘れていた…。というか、ジーコのおかげで忘れる寸前だった。
ここで言いたいのは、代表のスタイルが4バックか3バックかは監督のジーコが決めることだが、もしこれからも4バックでいくなら左サイドは三都主ではなくしたほうがよい。というより、どう考えても彼はバックの選手ではない。ジーコが右サイドバックにカフーを置くみたいにブラジルのようなチームを作りたいというのは以前に聞いたことがあるが、私の意見として現実的にまだ機能する実力は日本にはないと思う。
チーム全体に目を向けると、私は小野の存在感も含めて素晴らしい選手に着実に近づいていると感じた。中田英がいない日本代表を巧みなパス回しやキープ力の高さで、日本にショートパスができる根底を生んでいた。ネドベドのマークに徹していた稲本もさずがだが、稲本の実力があれば、あれくらいはできる。でなければ、プレミアから誘いは来ていなかっただろう。
チェコ戦を見て改めて思うのが、コンディションの大事さ。欧州で行われる試合ということで、オランダにいる小野とイングランドにいる稲本の調子はここ最近の代表試合では、一番よかったのではないか。もともと、あれだけのプレーができる選手なのはわかっていたつもりだが、やはり長い時間の飛行機移動を強いられての日本やシンガポールでの試合で前日合流というのは負担が重過ぎる。それでも、結果を出すのも求められるのもプロではあるが、なにも日本には国内にも素晴らしいで選手は多くいるのだから、無理することはない。チェコ戦の3バックは坪井、茶野、田中と今まででは想像もしていなかった組み合わせの3バックだ。それでも、チームとして世界ランク9位のチェコを敵地で完封できるのだから、国内組も十分力はあることがこれで証明された。
これで結果が出ていなかったら、ジーコは危ないだろうが、ひとまずは結果を出している。あいかわらず、いまひとつ具体的な戦術が見えてこないが、それがジーコのやろうとしているサッカーなのか。日本人は外国の選手に比べてシュートを打たないことはよく知られているが、あれだけ極端にシュート練習させるのは、日本に足りないものを植えつけようとしているのからか。ハンガリーから2点、チェコから1点を奪った。なかなか素晴らしい気がする。少しずつ、ジーコジャパンに対しての見方が変わりつつある。